平治物語

出典: フリー引用句集『ウィキクォート(Wikiquote)』

巻上[編集]

冒頭[編集]

  • ひそかに惟(おも)んみれば、三皇五帝の国を治め、四岳八元の民を撫づる、皆是レ器(うつはもの)をみて官に任じ、身をかへりみて禄をうくるゆゑなり。君、臣をえらんで官をさづけ、臣、己をはかて職をうくるときは、任をくはしうし成をせむること、労せずして化すといへり。かるがゆゑに、舟航のふね、海をわたる、必ズ橈檝(だうしふ)の功をかり、鴻鶴のつる、雲をしのぐ、かならず羽翮(うかく)の用による。帝王の国を治む、かならず匡弼のたすけによると云々。国の匡輔はかならず忠良をまつ。任使其ノ人をうるときは、天下おのづから治まるとみえたり。