「岡本かの子」の版間の差分
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*金の蜂ひとつとまりて紅のかんなの色はいやふかきかも |
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*かなしみをふかく保ちてよく笑ふをんなとわれはなりにけるかも |
*かなしみをふかく保ちてよく笑ふをんなとわれはなりにけるかも |
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*さびしくてわがかひ撫づるけだものの犬のあたまはほのあたたかし |
*さびしくてわがかひ撫づるけだものの犬のあたまはほのあたたかし |
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*梅はまだはつはつなれや丹頂の鶴の素立ちの足さむげなり |
*梅はまだはつはつなれや丹頂の鶴の素立ちの足さむげなり |
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*裏街の角さびしくて赤ぽすと孤児のごと停ちてあるかも |
*裏街の角さびしくて赤ぽすと孤児のごと停ちてあるかも |
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*わが脈を昼診し若き医師等(くすしら)が毬投げあそぶ夕(ゆふべ)の院庭 |
*わが脈を昼診し若き医師等(くすしら)が毬投げあそぶ夕(ゆふべ)の院庭 |
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== 随筆 == |
== 随筆 == |
2012年6月26日 (火) 13:57時点における版
岡本かの子(1889年3月1日 - 1939年2月18日)
おかもと かのこ。日本の歌人・小説家・仏教研究家。芸術家・岡本太郎の母。
短歌
かろきねたみ
- 力などの望まで弱く美しく生まれしまゝの男にてあれ
- 甲斐なしや強げにものを言ふ眼より涙落つるも女なればか
- むづかゆく薄らつめたくやや痛きあてこすりをば聞く快さ
愛のなやみ
- 春の風やや気色ばみ出でゝ行く人の後姿(うしろで)ゆるやかに吹く
- かの子かの子はや泣きやめて淋しげに添ひ臥す雛に子守歌せよ
浴身
- 桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命(いのち)をかけてわが眺めたり
- おのづからばる生命のいろに花さけりわが咲く色をわれは知らぬに
- 金の蜂ひとつとまりて紅のかんなの色はいやふかきかも
わが最終歌集
- かなしみをふかく保ちてよく笑ふをんなとわれはなりにけるかも
- さびしくてわがかひ撫づるけだものの犬のあたまはほのあたたかし
- 梅はまだはつはつなれや丹頂の鶴の素立ちの足さむげなり
- 裏街の角さびしくて赤ぽすと孤児のごと停ちてあるかも
- わが脈を昼診し若き医師等(くすしら)が毬投げあそぶ夕(ゆふべ)の院庭
随筆
『散華抄』より
茲に説くところの『生を悦ぶ心』とは、いわゆる人間七情のなかなる喜悦の情を指せるには非ず。
いわゆる世上の喜悦は、その情の起る原因を失わば、根の枯れたる花の如く凋む。のみならず、却て跡に寂寥の悲しみを残す。茲に謂う『生の悦び』とは生に対する絶対の充足感なり、原因の有無には拠らず。