勝海舟
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かつ かいしゅう。江戸時代末の幕臣、政治家。
『氷川清話』より
[編集]- 一個人の百年は、ちやうど国家の一年くらゐに当るものだ。それゆゑに、個人の短い了見をもつて、あまり国家の事を急ぎ立てるのはよくないヨ。徳川幕府でも、もうとても駄目だと諦めてから、まだ十年も続いたではないか。
- 人を集めて党を作るのは、一つの私ではないかと、おれは早くより疑つてゐるヨ。人はみな、さまざまにその長ずるところ、信ずるところを行へばよいのサ。社会は大きいから、あらゆるものを包容して毫も不都合はない。
- おれはモー死にかゝつて、半分耄碌して居るが、世の中の若僧も思ひの外だよ。来年は戌年だといふから、発句を読んで置いた。これを御覧。 男らしく 大喧嘩せよ いぬの春
- 男児世に処する、たゞ誠意正心をもつて現在に応ずるだけの事さ。あてにもならない後世の歴史が、狂といはうが、賊といはうが、そんな事は構ふものか。要するに、処世の秘訣は誠の一字だ。