新美南吉
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にいみ なんきち。日本の作家。
小説
[編集]- 『手袋を買いに』(執筆、1933年)
- 「ほんとうに人間はいいものかしら」
- 『手袋を買いに』
- 「ごん、お前だつたのか。いつも栗をくれたのは」
ごんは、ぐつたりと目をつぶつたまゝ、うなづきました。
兵十は火縄銃をばたりと、とり落しました。青い煙が、まだ筒口から細く出ていました。
- 『ごん狐』(1932年)
- 「わしの、しょうばいのやめ方はこれだ」
それから巳之助は池のこちら側の往還(おうかん)に来た。まだランプは、向こう側の岸の上にみなともっていた。五十いくつがみなともっていた。そして水の上にも五十いくつの、さかさまのランプがともっていた。 (中略)
「お前たちの時世はすぎた。世の中は進んだ」
と巳之助はいった。そしてまた一つ石ころを拾った。二番目に大きかったランプが、パリーンと鳴って消えた。
「世の中は進んだ。電気の時世になった」
三番目のランプを割ったとき、巳之助はなぜか涙がうかんで来て、もうランプに狙いを定めることができなかった。
- 『おじいさんのランプ』(1942年)