日野草城

出典: フリー引用句集『ウィキクォート(Wikiquote)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

日野草城 (1901-1956)[編集]

ひの そうじょう。東京都出身の俳人。

作品[編集]

草城句集「花氷」(昭和2年)[編集]

  • 春の灯や女は持たぬのどぼとけ
  • 春暁やひとこそ知らね樹々の雨
  • ところてん煙の如く沈み居り
  • 南風や化粧に洩れし耳の下
  • 春の夜や足のぞかせて横座り
  • 春寒や竹の中なる赫映姫(かぐやひめ)

ミヤコホテル連作「俳句研究」より(昭和9年)[編集]

  • けふよりの妻(め)と来て泊(はつ)る宵の春
  • 夜半の春なほ処女(をとめ)なる妻(め)と居りぬ
  • 薔薇匂ふはじめての夜のしらみつつ
  • 妻の額(ぬか)に春の曙はやかりき
  • 湯あがりの素顔したしく春の昼
  • 失ひしものを憶(おも)へり花ぐもり

昨日の花(昭和10年)[編集]

  • 寒燈や陶は磁よりもあたたかく
  • 白魚のかぼそきいのちをはりぬる

「ミヤコホテル」連作

  • けふよりの妻と泊るや宵の春
  • 春の宵なほをとめなる妻と居り
  • 枕邊の春の灯(ともし)は妻が消しぬ
  • をみなとはかかるものかも春の闇
  • うららかな朝の焼麺麭(トースト)はづかしく
  • 湯あがりの素顔したしも春の昼
  • 永き日や相触れし手は触れしまま

旦暮〈あけくれ〉(昭和24年)[編集]

  • 二上山(ふたかみ)を瞻(み)てをりいくさ果てしなり
  • 山茶花(さざんか)やいくさに敗れたる国の
  • かたはらに鹿の来てゐるわらび餅
  • 暮れそめてはつたと暮れぬ秋の暮
  • 片恋やひとこゑもらす夜の蝉

人生の午後(昭和28年)[編集]

  • 寒の闇煩悩とろりとろりと燃ゆ
  • 見えぬ眼の方の眼鏡の玉も拭く
  • 高熱の鶴青空に漂へり
  • われ咳す故に我あり夜半の雪
  • 切干やいのちの限り妻の恩

銀(昭和31年)[編集]

  • こほろぎや右の肺葉穴だらけ
  • 誰(た)が妻とならむとすらむ春着の子
  • 先生はふるさとの山風薫る