出典: フリー引用句集『ウィキクォート(Wikiquote)』
臼田亞浪 (うすだ あろう、1879 -1951)、日本・長野県出身の俳人。
- 凩(こがらし)や雲裏の雲夕焼くる
- 元日や日のあたりをる浅間山
- 妻も子もはや寝て山の銀河冴ゆ
- 郭公や何處までゆかば人に逢はむ
- 氷挽く音こきこきと杉間かな
- 木曽路ゆく我も旅人散る木の葉
- 河鹿啼く水打つて風消えにけり
- 山霧に蛍きりきり吹かれけり
- 草原や夜々に濃くなる天の川
- えにしだの夕べは白き別れかな
- そのむかし代々木の月のほととぎす
- 山雷や毛野の青野に人も見えず
- 巣にくだる鷺のもろ羽の碧(あを)みさす
- 身延の燈煌々と虫嗄(か)れきりぬ
- 谷底に田打てる見えて一人なり
- 刈りそめし稲に落つ日箭(や)も匂へり
- はくれむや起ち居のかろき朝来り
- 朝寒の噴井(ふきゐ)が眼鏡くもらしぬ
- 烏瓜赤しと子らの触れゆきぬ
- 風日々に冬至となりし日の黄なり
- 秋深くなりて無氣味な朝焼す