大江千里 (歌人)
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おおえのちさと、日本の平安時代の歌人。9世紀末から10世紀初めの人で、寛平期が歌人としての最盛期にあたる。
- 鶯の谷よりいづる声なくは春くることをたれかしらまし
- 古今集、巻一、春歌上。詞書は「寛平御時きさいの宮の歌合のうた」。
- てりもせずくもりもはてぬ春の夜のおぼろ月夜にしく物ぞなき
- 月みれば千々に物こそ悲しけれ我が身ひとつの秋にはあらねど
- あしたづのひとりおくれてなく声は雲のうへまできこえつがなむ
- 古今集、巻十八、雑体。詞書は「寛平御時、歌たてまつりけるついでにたてまつりける」。
- 「雲のうへ」は宮中、天皇の耳に達すること。「歌たてまつる」は894年(寛平6年)に宇多天皇(寛平御時)に献上された自撰の私家集『句題和歌』(『千里集』)とする説が有力である。天皇への歌集献上に際し、同輩に比して自らの官位が不遇であることを訴えた歌。ただし『古今和歌六帖』には作者を弟の千古とする。