アレクサンドル・プーシキン

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アレクサンドル・プーシキン(1799年-1837年)はロシアの作家・詩人

引用[編集]

スペードの女王[編集]

岡本綺堂の訳

  • ダンテは「未熟なるもののパンは苦く、彼の階梯は急なり」と言っている。しかもこの老貴婦人の憐れな話し相手リザヴェッタが、居候と同じような辛い思いをしていることを知っている者は一人もなかった。
  • 「わたしは不本意ながらあなたの所へ来ました」と、彼女はしっかりした声で言った。「わたしはあなたの懇願を容れてやれと言いつかったのです。三、七、一の順に続けて賭けたなら、あなたは勝負に勝つでしょう。しかし二十四時間内にたった一回より勝負をしないということと、生涯に二度と骨牌の賭けをしないという条件を守らなければなりません。それから、あなたがわたしの附き添い人のリザヴェッタ・イヴァノヴナと結婚して下されば、私はあなたに殺されたことを赦しましょう」
  • 精神界において二つの固定した想念が共存するということは、物質界において二つの物体が同時に同じ場所に存在する事と同じように不可能である。
  • 「一が勝った」と、ヘルマンは自分の札を見せながら叫んだ。
    「あなたの女王が負けでございます」と、シェカリンスキイは慇懃に言った。
    ヘルマンははっとした。一の札だと思っていたのが、いつの間にかスペードの女王になっているではないか。
    彼は自分の眼を信じることも、どうしてこんな間違いをしたかを理解することも出来なかった。途端に、そのスペードの女王が皮肉な冷笑を浮かべながら、自分の方に眼配せしているように見えた。その顔が彼女に生き写しであるのにぎょっとした。
    「老伯爵夫人だ」と、彼は恐ろしさのあまりに思わず叫んだ
  • ヘルマンは発狂した。そうして今でもなお、オブコフ病院の十七号病室に監禁されている。彼はほかの問いには返事をしないが、絶えず非常な早口で「三、七、一!」「三、七、一!」とささやいているのであった。

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