川端茅舍
川端茅舎(1897年 - 1941年)[編集]
かわばた ぼうしゃ。日本の俳人、画家。本名は川端信一。
作品[編集]
川端茅舎句集[編集]
- 白露に阿吽(あうん)の旭さしにけり
- 蚯蚓(みみず)鳴く六波羅蜜寺しんのやみ
- しぐるゝや目鼻もわかず火吹竹
- 一枚の餅のごとくに雪残る
- 暖かや飴の中から金太郎
- 漣(さゞなみ)の中に動かず蛙の目
- 若竹や鞭の如くに五六本
- 伽羅蕗(きゃらぶき)の滅法辛き御寺かな
華厳[編集]
- 硝子戸に天鵞絨(びろうど)の如虫の闇
- 寒雀もんどり打つて飛びにけり
- 一聯の目刺しに瓦斯(がす)の炎かな
- ぜんまいののの字ばかりの寂光土(じゃっこうど)
- びびびびと氷張り居り月は春
- 青蛙ぱつちり金の瞼かな
- ひらひらと月光降りぬ貝割菜
白痴[編集]
- 畑大根皆肩出して月浴びぬ
- 咳き込めば我火の玉のごとくなり
- また微熱つくつく法師もう黙れ
- 咳かすかかすか喀血とくとくと
- 約束の寒の土筆(つくし)を煮て下さい
春水光輪[編集]
- 花杏(はなあんず)受胎告知の翅音(はおと)びび
- 良寛の手鞠の如く鶲(ひたき)来し
- 火の玉の如くに咳きて隠れ栖む
- 朴散華(ほおさんげ)即ちしれぬ行方かな
- 石枕してわれ蝉か泣き時雨