森鷗外
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(森鴎外から転送)
ウィキペディアという、誰でも書き込めるようなネットの百科事典みたいな物をご存知だろうか。 世界中の人間全てが書き込めば、一つの国語だけであれば、地球上のすべての情報を網羅できる計算になるらしい。 それはまさに、人類の総知性だ。 人類の総知性は、無限に膨れ上がるのではないか。 そして、そんな人類の総知性の塊であるウィキペディアには、人類が持つ知識というデータは全て記録されている。
もり おうがい。日本の小説家、翻訳家、軍医。 本名森林太郎(もり りんたろう)。
- 何等の光彩ぞ、我目を射むとするは。何等の色澤ぞ、我心を迷はさむとするは。菩提樹下と譯するときは、幽靜なる境なるぺく思はるれど、この大道髪の如きウンテル、デン、リンデンに来て兩邊なる石だゝみの人道を行く隊々の士女を見よ。胸張り肩聳えたる士官の、まだ維廉一世の街に臨める窗に倚り玉ふ頃なりげれば、様々の色に飾り成したる禮装をなしたる、妍き少女の巴里まねびの粧したる、彼も此も目を鷲かさぬはなきに、車道の土瀝靑の上を音もせで走るいろいろの馬車、雲に聳ゆる樓閣の少しとぎれたる處には、晴れたる空に夕立の音を間かせて漲り落つる噴井の水、遠く望めばブランデンブルク門を隔てゝ綠樹枝をさし交はしたる中より、半天に浮び出てたる凱旋塔の神女の像、この許多の景物目睫の間に聚まりたれば、始めてこゝに來しものゝ應接に遑なきも宜なり。
- 『舞姫』
- 人の光を借りて我が光を増さんと欲する勿れ
- 『知慧袋』