宇津ノ谷峠

出典: フリー引用句集『ウィキクォート(Wikiquote)』
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宇津ノ谷峠(うつのやとうげ)、宇津の山は、静岡県静岡市駿河区宇津ノ谷と藤枝市岡部町岡部坂下の境にある

引用[編集]

  • 宇津の山にいたりて、わが入らむとする道は、いと暗う細きに、つたかへでは茂り、物心ぼそく、すずろなるめを見ることと思ふに、修行者すぎゃうじゃあひたり。「かかる道はいかでかいまする」といふを見れば、見し人なりけり。京に、その人の御もとにとて、文書きてつく。
     駿河なる宇津の山べのうつゝにも夢にも人にあはぬなりけり --『伊勢物語
  • 宇津の山越ゆる程にしも、阿闍梨の見知りたる山伏行きあひたり。「夢にも人を」など、昔をわざとまねびたらん心地して、いとめづらかに、をかしくもあはれにもやさしくも覚ゆ。急ぐ道なりと言へば、文もあまたはえ書かず。たゞやむごとなき所一つにぞ、音信おとづれ聞ゆる。
     我が心うつゝともなし宇津の山夢にも遠き都恋ふとて
     蔦楓つたかへで時雨れぬひまも宇津の山涙に袖の色ぞ焦がるゝ --阿仏尼『十六夜日記
  • 宇津の山を越ゆれば、蔦楓は茂りて、昔の跡絶えず。彼の業平が修行者すぎゃうじゃにことづてしけむ程は、何処いづくなるらむと見行く程に[中略]峠といふ所に到りて、大きなる卒塔婆の年経にけると見ゆるに、歌ども数多書きつけたる中に、
     吾妻路はこゝをせにせむ宇津の山あはれも深し蔦のした道
    と詠める、心とまりて覺ゆれば、其の傍に書きつけし、
     我もまたこゝをせにせむ宇津の山分けて色あるつたのした露 --『東関紀行』