松本たかし
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まつもと たかし。東京都出身の俳人。
作品
[編集]松本たかし句集(昭和10年)
[編集]- たんぽぽや一天玉の如くなり
- 大空に莟(つぼみ)を張りし辛夷(こぶし)かな
- 仕る手に笛もなし古雛(ひいな)
- 羅(うすもの)をゆるやかに着て崩れざる
- 金魚大鱗夕焼の空*我去れば鶏頭も去りゆきにけり
- でんがくと白く抜いたり赤暖簾
- 赤く見え青くも見ゆる枯木かな
- 八方に山のしかかる枯野かな
- 侘助の莟の先に止まる雪
- 追ひかけて届く鯛あり大晦日
鷹(昭和13年)
[編集]- 太太と氷一字の旗よろし
- チチポポと鼓打たうよ花月夜
- 高原の薄みぢかき良夜かな
野守(昭和16年)
[編集]- 花辛夷人なつかしく咲きにけり
- 砂丘行き秋燕を見しばかりなり
石魂(昭和28年)
[編集]火明(昭和32年)
[編集]- などやらむ世に目まとひと生れ出で
- 散らばりし筆紙の中の桜餅
- 風邪の眼にかがよふ黄あり福寿草
- 生死如是病苦また如是花が咲く
- 海中(わだなか)に都ありとぞ鯖火もゆ
- 虫の音の誘(いざな)ふ闇に行かず居り
- 行く霧を追ひ越す霧や山上湖